「産業廃棄物収集運搬業を始めたいけれど、どのような許可が必要なのかわからない」
「産業廃棄物収集運搬業の許可を取得すれば、どのような廃棄物でも運べるのだろうか」
「愛知県で許可を取れば、岐阜県や三重県の現場からも運搬できるのだろうか」
産業廃棄物収集運搬業を始める方からは、このようなご相談をよくいただきます。
産業廃棄物収集運搬業の許可は、取得すれば何でも自由に運搬できるというものではありません。許可には、運搬できる産業廃棄物の種類、運搬先、許可を受けた自治体、車両や設備の内容など、一定の範囲があります。
今回は「初心にもどりシリーズ第三弾」として、産業廃棄物収集運搬業を始める前に知っておきたい、許可の基本的な範囲について行政書士がわかりやすく解説します。
産業廃棄物収集運搬業の許可は何のために必要?
産業廃棄物は、排出事業者が責任を持って適正に処理しなければなりません。
しかし、排出事業者が自社で処理施設まで運搬することが難しい場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた業者へ運搬を委託することがあります。
このような場合に、産業廃棄物を車両などで収集し、処分場などの決められた場所まで運搬するために必要となるのが、産業廃棄物収集運搬業の許可です。
許可を受けずに、他人から委託を受けて産業廃棄物を運搬すると、廃棄物処理法に違反するおそれがあります。
「自社の車両で運ぶだけ」
「処分場まで運ぶだけ」
「一時的に運搬するだけ」
という場合であっても、誰の産業廃棄物を、どのような契約に基づいて運搬するのかによって、許可の要否が変わることがあります。
そのため、産業廃棄物収集運搬業を始める場合には、最初に事業の内容を整理し、必要な許可の範囲を確認することが重要です。
産業廃棄物収集運搬業の許可で確認すべき4つの範囲
産業廃棄物収集運搬業の許可を検討するときは、少なくとも次の4つの点を確認しましょう。
- 運搬する産業廃棄物の種類
- 排出場所と運搬先の自治体
- 積替え保管を行うかどうか
- 使用する車両や運搬方法
順番に解説します。
1.運搬する産業廃棄物の種類
産業廃棄物には、さまざまな種類があります。
代表的なものとして、次のような産業廃棄物が挙げられます。
- 燃え殻
- 汚泥
- 廃油
- 廃酸
- 廃アルカリ
- 廃プラスチック類
- 紙くず
- 木くず
- 繊維くず
- 動植物性残さ
- ゴムくず
- 金属くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
- 鉱さい
- がれき類
- ばいじん
- 産業廃棄物を処分するために処理したもの
ただし、すべての産業廃棄物を運搬できるとは限りません。
許可申請では、実際に運搬する予定の産業廃棄物の種類を明確にして、申請書に記載します。
例えば、許可の種類が「廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず等」である場合、許可に含まれていない「汚泥」や「廃油」を運搬できるとは限りません。
また、産業廃棄物の中には、通常の産業廃棄物とは別に、特別管理産業廃棄物として扱われるものがあります。
特別管理産業廃棄物は、爆発性、毒性、感染性などの性状を持つものがあり、通常の産業廃棄物収集運搬業の許可とは別の許可が必要です。
産業廃棄物の種類は正しく確認する
産業廃棄物の種類は、排出事業者の業種や廃棄物の性状によって判断が変わることがあります。
例えば、同じ木材であっても、どのような事業活動から排出されたものかによって、産業廃棄物に該当するかどうかの判断が必要になる場合があります。
「見た目が木材だから木くず」
「金属が含まれているから金属くず」
と簡単に判断するのではなく、排出事業者や処分業者にも確認しながら、適切な品目を選ぶことが大切です。
2.排出場所と運搬先の自治体
産業廃棄物収集運搬業の許可で、特に間違いやすいのが、許可を取得する自治体の範囲です。
産業廃棄物収集運搬業の許可は、原則として、産業廃棄物を積み込む場所と、運搬先の処分場が所在する自治体ごとに確認が必要です。
例えば、次のような運搬を行うとします。
- 愛知県内の工事現場で産業廃棄物を積み込む
- 岐阜県内の中間処理施設へ運搬する
この場合、積込みを行う場所と運搬先の自治体について、許可の要否を確認しなければなりません。
通過するだけの自治体の許可は必要?
産業廃棄物を積み込む場所から処分場まで運搬する途中で、別の自治体を通過することがあります。
このような場合、単に通過するだけの自治体については、通常、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となるわけではありません。
ただし、次のような場合には注意が必要です。
- 途中の自治体で産業廃棄物を積み込む
- 途中の自治体で荷下ろしをする
- 途中の保管場所に搬入する
- 途中で別の車両へ積み替える
- 積替え保管施設を使用する
単に通過するだけなのか、途中で何らかの作業を行うのかによって、必要な許可や手続きが変わることがあります。
県境を越える場合は事前確認が重要
愛知県、岐阜県、三重県など、複数の自治体をまたいで運搬する場合には、運搬ルートだけで判断せず、次の点を整理しましょう。
- どこで産業廃棄物を積み込むのか
- どこへ運搬するのか
- 処分先はどこか
- 途中で荷下ろしをするのか
- 積替え保管を行うのか
- どの自治体の許可が必要なのか
「愛知県の許可があるから、岐阜県の現場からも運搬できる」とは限りません。
事業を始める前に、実際の取引先や処分場を想定して確認することが大切です。
3.積替え保管を行うかどうか
産業廃棄物収集運搬業には、大きく分けて次の2つの形態があります。
積替え保管を含まない収集運搬
排出場所で産業廃棄物を積み込み、途中で保管や積替えをせず、そのまま処分場などへ運搬する形態です。
一般的な収集運搬業務では、この形態が多いと考えられます。
積替え保管を含む収集運搬
一度、許可を受けた積替え保管施設に産業廃棄物を搬入し、一定期間保管したうえで、別の車両などに積み替えて処分場へ運搬する形態です。
積替え保管を行う場合には、単に車両を用意するだけでは足りません。
- 積替え保管施設の確保
- 施設の構造や設備
- 周辺環境への配慮
- 保管できる廃棄物の種類と量
- 保管期間
- 施設に関する関係法令
- 自治体との事前協議
など、確認すべき事項が増えます。
また、積替え保管を含む許可は、申請の難易度や準備する書類が大きく異なることがあります。
「いつか積替え保管も行いたい」と考えている場合でも、最初から積替え保管を含む許可を取得するのか、まずは積替え保管なしで事業を開始するのか、事業計画に応じた判断が必要です。
4.使用する車両や運搬方法
産業廃棄物収集運搬業では、使用する車両や運搬容器についても確認が必要です。
産業廃棄物を運搬する際には、運搬中に飛散、流出、悪臭の発散などが起こらないよう、廃棄物の性状に応じた対策を行わなければなりません。
例えば、廃プラスチック類や木くずなどを運搬する場合には、飛散を防止するためのシート掛けなどが必要になることがあります。
液状の廃棄物であれば、漏えいを防止できる容器や車両が必要です。
また、車両については、申請時に車検証などの書類を提出することがあります。
車両を借りて使用する場合には、賃貸借契約書や使用承諾書など、使用権限を確認する書類が必要になることもあります。
許可申請の前に、実際に使用する車両が運搬する産業廃棄物に適しているかを確認しておきましょう。
許可があっても運搬できないケース
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得していても、次のような場合には運搬できない可能性があります。
許可品目に含まれていない産業廃棄物を運搬する場合
許可を受けていない種類の産業廃棄物を運搬することはできません。
取引先から「これも一緒に運んでほしい」と依頼された場合でも、許可証の品目を確認する必要があります。
許可を受けていない自治体で積み込む場合
運搬先が同じであっても、積込み場所が異なれば、別の自治体の許可が必要となる場合があります。
新しい取引先から依頼を受けたときは、所在地を確認しましょう。
積替え保管を含まない許可で保管する場合
積替え保管を含まない許可で、営業所や倉庫に産業廃棄物を置いておくことはできません。
短時間であっても、実態として保管に該当する場合には注意が必要です。
産業廃棄物処分業の許可が必要な業務を行う場合
収集運搬業の許可は、産業廃棄物を運ぶための許可です。
産業廃棄物を破砕、焼却、選別、圧縮などの処分を行う場合には、別途、産業廃棄物処分業の許可が必要となることがあります。
「運搬の途中で少し選別する」
「倉庫で分別してから処分場へ持っていく」
という業務を考えている場合には、収集運搬業だけで対応できるのか、処分業の許可が必要になるのかを確認しましょう。
許可の範囲を確認するためのチェックリスト
産業廃棄物収集運搬業を始める前に、次の項目を確認してみてください。
産業廃棄物の種類
- 運搬する産業廃棄物は何か
- 許可証の品目に含まれているか
- 特別管理産業廃棄物に該当しないか
- 廃棄物の性状に合った運搬方法か
運搬経路
- どこで積み込むのか
- どこへ運搬するのか
- 処分先は決まっているか
- 積替えや保管を行うか
- 必要な自治体の許可を取得しているか
車両・設備
- 使用する車両は確保できているか
- 車両の使用権限を証明できるか
- 飛散・流出・悪臭を防止できるか
- 産業廃棄物の種類に適した容器を使用できるか
契約・管理
- 排出事業者と適切な委託契約を結ぶ予定か
- 処分業者との契約関係を確認しているか
- マニフェストの運用を理解しているか
- 許可証の期限や変更事項を管理できるか
産業廃棄物収集運搬業の許可申請でお悩みの方へ
産業廃棄物収集運搬業の許可申請は、書類を提出するだけで終わるものではありません。
実際に行う事業の内容に合わせて、
- どの品目の許可が必要なのか
- どの自治体に申請するのか
- 積替え保管を含めるのか
- 車両や容器は適切か
- 申請後に事業を開始できる内容になっているか
を事前に整理する必要があります。
許可の範囲を十分に確認しないまま申請すると、許可取得後に「予定していた廃棄物を運べない」「新しい取引先の現場に入れない」「別の自治体の許可が必要だった」といった問題が発生することがあります。
松浦正樹行政書士法務事務所では、愛知県を中心に、産業廃棄物収集運搬業許可の新規取得、更新、変更に関するご相談を承っています。
「これから産業廃棄物収集運搬業を始めたい」
「自社の事業に許可が必要かわからない」
「許可を取得したが、運べる品目や地域を確認したい」
「愛知県・岐阜県・三重県をまたぐ運搬を検討している」
このようなお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
事業内容や運搬ルートを確認し、必要な許可の範囲を一緒に整理いたします。
産業廃棄物収集運搬業許可のご相談は、松浦正樹行政書士法務事務所へ
許可申請の可否や必要な手続きは、事業内容によって異なります。
「自分の場合は許可が必要なのか」「どの品目・自治体の許可を取ればよいのか」と迷われている方は、申請準備を始める前にお問い合わせください。
まとめ
今回は、産業廃棄物収集運搬業を始める前に確認したい許可の範囲について解説しました。
重要なポイントは、次のとおりです。
- 許可を取得しても、すべての産業廃棄物を運べるわけではない
- 許可品目に含まれていない廃棄物は運搬できない
- 積込み場所や運搬先によって、必要な許可を確認する必要がある
- 通過するだけの自治体と、積込み・荷下ろしを行う自治体は区別する
- 積替え保管を行う場合は、別途詳しい確認が必要
- 車両や容器は、産業廃棄物の性状に適したものを準備する
- 収集運搬業と処分業では、必要な許可が異なる
産業廃棄物収集運搬業は、許可を取ることがゴールではありません。
取得した許可の範囲内で、適正に事業を継続できる体制を整えることが重要です。
これから許可申請を検討されている方は、事業内容と運搬ルートを整理したうえで、専門家へご相談ください。
関連ブログ記事
初心にもどり、そもそも産業廃棄物収集運搬業許可とは?何故必要?もう一度おさらい
産業廃棄物収集運搬業の許可がなぜ必要なのか、基本から確認したい方はこちらをご覧ください。
「初心にもどり、そもそも産業廃棄物収集運搬業許可とは?何故必要?もう一度おさらい」を読む
初心にもどりシリーズ第2弾|総合的産業廃棄物処理業の許可さえあれば処理も運搬もできる?そんな都合のいいことある?
産業廃棄物の「処理」と「運搬」の違いについて解説しています。許可の種類を整理したい方におすすめの記事です。
自分の会社のゴミを自分で運ぶだけなのに…許可が必要なケースとは?
自社から出た産業廃棄物を自社で運搬する場合の考え方について解説しています。
「自分の会社のゴミを自分で運ぶだけなのに…許可が必要なケースとは?」を読む
許可申請で落とされた!よくある失敗3パターンと対策|産業廃棄物収集運搬業許可
産業廃棄物収集運搬業許可の申請で注意したい、よくある失敗と対策を紹介しています。
「許可申請で落とされた!よくある失敗3パターンと対策」を読む
産業廃棄物収集運搬業許可、費用はいくら?行政書士に頼むといくら?正直に教えます
許可申請に必要な費用や、行政書士へ依頼する場合の費用について解説しています。
愛知県で産業廃棄物収集運搬業許可を取るまで何日かかる?
愛知県で産業廃棄物収集運搬業許可を取得するまでの期間や流れを確認したい方はこちらをご覧ください。
「愛知県で産業廃棄物収集運搬業許可を取るまで何日かかる?」を読む
産業廃棄物収集運搬業を始める前に確認したい許可の範囲を行政書士が解説。運搬できる産業廃棄物の種類、自治体ごとの許可、積替え保管、車両・容器の注意点をわかりやすく紹介します。愛知県・岐阜県・三重県の許可申請は松浦正樹行政書士法務事務所へ。
- 産業廃棄物収集運搬業
- 産業廃棄物収集運搬業 許可
- 産廃収集運搬 許可範囲
- 産業廃棄物 許可 品目
- 産業廃棄物収集運搬業 愛知県
- 産業廃棄物収集運搬業 岐阜県
- 産業廃棄物収集運搬業 三重県
- 産廃 許可 積替え保管
- 産業廃棄物 許可 行政書士

コメントを残す