はじめに|産廃許可だけでは足りない理由
産業廃棄物収集運搬業や処分業の許可を持っている事業者が、鉄・銅・アルミなどの金属スクラップの買取・販売に参入するケースが増えています。
しかし、注意が必要です。廃棄物として処理する行為と、物品として売買する行為は、法律上まったく別の話です。
廃棄物処理法の許可を持っていても、スクラップの「買取・販売」には別途、古物営業法をはじめとする複数の許認可・届出が必要になります。無許可で営業した場合、行政処分や刑事罰の対象となる可能性があります。
本記事では、産廃業者がスクラップ買取・販売事業に参入する際に必要な許認可・届出を、岐阜県・愛知県の独自規制を含めてわかりやすく解説します。
① 全国共通:古物商許可(古物営業法)
古物商許可とは
金属スクラップ(鉄・銅・アルミ等)を買取・販売する場合、まず古物商許可が必要です。
金属くず類は古物営業法上の「古物」に該当します。中古品や使用済み品を反復継続して売買する場合は、古物商の許可なく営業することはできません。
申請先・許可庁
- 申請先:営業所を管轄する都道府県公安委員会(実際の窓口は管轄警察署)
- 複数の都道府県に営業所がある場合は、それぞれの都道府県で許可が必要
罰則
無許可営業は、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(古物営業法第31条)
実務上のポイント
- 法人の場合は役員全員の書類が必要
- 営業所ごとに管理者(古物商の資格者)を設置しなければならない
- 取引ごとに相手方の本人確認と帳簿記載が義務付けられている
② 岐阜県独自の規制
岐阜県使用済金属類営業許可
岐阜県では、古物商許可に加えて、独自の許可制度が設けられています。
岐阜県使用済金属類営業の規制等に関する条例に基づく「使用済金属類営業許可」です。
対象となる営業
使用済みの金属類を買い受けて販売する営業(スクラップ業全般が対象)
申請先
岐阜県知事(各地域の県事務所経由)
古物商許可との違い
古物商許可は警察(公安委員会)が管轄するのに対し、岐阜県使用済金属類営業許可は県知事が管轄します。両方の許可が必要であり、どちらか一方では足りません。
岐阜県内でスクラップ買取を行う場合は、この点を必ず確認してください。
特定金属くず買受業の届出(警察署へ)
銅をはじめとする特定金属くず(電線・銅管等)を取り扱う場合、管轄の警察署への届出が別途求められます。
これは、銅スクラップが電線盗難等の犯罪と結びつきやすいことから、防犯上の観点で設けられた制度です。届出なしに特定金属くずを買い受けることは、条例違反となる場合があります。
③ 愛知県の規制
独自の「金属くず営業許可」制度は現在不要
愛知県では、岐阜県のような独自の金属くず営業許可制度は現時点では設けられていません。
古物商許可さえあれば、愛知県内での金属スクラップ買取・販売は原則として可能です。
ただし「ヤード」を設置する場合は要注意
愛知県内で金属スクラップを保管・買受するためのヤード(作業場・置き場)を設置する場合は、別途、条例による規制の対象となる可能性があります。
愛知県の条例による規制
愛知県では、金属スクラップヤードの運営に関して、生活環境の保全および防犯の観点から、条例に基づく届出・規制が定められています。
主な規制内容は以下の通りです。
- ヤード設置・運営前の届出義務
- ヤード内の保管状況・帳簿管理に関する基準の遵守
- 行政による立入検査への対応義務
- 基準違反に対する改善命令・営業停止等の行政処分
ヤードの規模や取扱品目によって規制の適用範囲が異なる場合がありますので、事前に愛知県または所管の市区町村に確認することを強くおすすめします。
④ 複数県にまたがる場合の注意点
岐阜県・愛知県の両方で営業する場合、それぞれの許認可・届出が個別に必要です。
たとえば、本社が愛知県にあり、岐阜県内でも買取営業を行う場合は、岐阜県の使用済金属類営業許可と特定金属くず買受業届出が別途必要になります。「愛知で許可を取ったから大丈夫」とはなりません。
⑤ 廃棄物処理法との関係性の整理
産廃業者にとって混乱しやすいのが、廃棄物処理法と古物営業法の適用区分です。
| 区分 | 適用法令 | 必要な許可 |
|---|---|---|
| 廃棄物として収集・運搬する | 廃棄物処理法 | 産業廃棄物収集運搬業許可 |
| 有価物(スクラップ)として買い取る・売る | 古物営業法等 | 古物商許可+各都道府県の条例等 |
同じ金属スクラップであっても、「廃棄物として処理するのか」「有価物として売買するのか」によって、適用される法律が異なります。実態に応じた整理が不可欠です。
まとめ|許認可の漏れは重大リスク
産廃業者がスクラップ買取・販売に参入する際に必要な許認可・届出を整理します。
【全国共通】
- ✅ 古物商許可(古物営業法/公安委員会)
【岐阜県】
- ✅ 岐阜県使用済金属類営業許可(県知事)
- ✅ 特定金属くず買受業届出(管轄警察署)
【愛知県】
- ✅ 金属スクラップヤード設置の場合:条例に基づく届出・規制への対応
許認可の漏れは、無許可営業として行政処分・刑事罰の対象となりえます。事業開始前に必ず専門家へ相談することをおすすめします。
松浦正樹行政書士法務事務所にご相談ください
当事務所は、産業廃棄物収集運搬業許可を専門に扱う愛知県の行政書士事務所です。
スクラップ買取・販売に参入する際に必要な古物商許可の申請サポートも承っております。岐阜県・愛知県の各種許認可・届出についても、豊富な対応実績をもとに丁寧にご案内します。
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愛知県一宮市薮安賀1丁目6番21-2号
松浦正樹行政書士法務事務所
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※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。各条例・規制の内容は改正される場合がありますので、最新情報は各都道府県の担当窓口または専門家にご確認ください。

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